不思議の国の物語。
「チョコはこの世界の神様だったんでしょ? なのに…さ,なんで,なんで死にそうなのよ! 意味がわかんないよ。 だって,ここはあんたの世界なんだから…あんたの好きにすればいいじゃない。 本当に。 なんで,あたし達はピンピンに生きているのになんで,なんであんただけが死にそうなんだよぉ…──」
 もう,やめなさいと時艱いや,Jが注意している。
「ごめんな。 千世子。 俺が言ったからだよな?」
 自問自答。 謝ったって答える人なんて居ないのに,なんで。
みんなあたしの為に涙を流してくれてるの? 意味わかんないよ。 
もう,嫌だ。
 あたしが居たって意味がないのに。 なんで,そんな純粋に涙を流してくれてるの? あたしの為に。 
 もう,無理だった。 折れた精神をまた戻すことは…とてつもなく困難だった。
でも,頑張れるような気がした。 本当に。 多分だけど…。 
 ありがとう──。 
もうこの言葉だけで十分だ。
安心出来る仲間が居る。
 でも…まだちゃんと終わってない。 
この世界を終わりにせずに生き残る方法を考えて,それを実行させなければならないから。

その為にあたしは立ち上がる。 



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