Those who met those lost(失ったもの、出会ったもの)
**涙
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
「杏ちゃん?」
「‥‥‥‥‥は‥‥いっ‥‥」
「どうしたの?泣いてない?」
「‥‥いえ、大丈夫‥‥です。」
「どこ?」
「‥‥えっ‥‥」
「いいから、どこ?
どうせ、帰れなくて
どこかに、いるんだろ?」
「‥‥公園に‥‥」
と、言うと
「そこに、いて。」
と、言って貴晃さんは、電話を切った。
ああっ、と思うが
そのまま、ベンチに座っていた。
10分か、15分位たっただろか
ダッダッ‥‥と足音が‥‥
「あ‥はっ‥はっ···杏‥ちゃん‥‥」
と、息を切らした‥‥貴晃さん。
貴晃さんは、ベンチの下に膝を付き
私を抱き締めて
「頼むから、一人で泣かないで。
俺を頼って俺を忘れないで。」
と、言った。
あまりにも、優しい言葉に
私は、声をあげて泣いた。
貴晃さんは、私が泣き止むまで
ずっと、抱き締めてくれて。
「‥‥‥ごめんなさい‥‥
‥‥もうっ‥‥大丈夫‥です。」
と、言うと。
「本当に?」
と、言って、私の顔をみて
親指のはらで、私の涙を拭いてくれた。
その貴晃さんの顔が、
あまりにも、辛そうで
私は、逆に可笑しくなって
クスクス、笑うと
貴晃さんは、困った顔をしながら
少し、ホッとした顔をした。
だから、
「心配かけて、ごめんなさい。
膝、痛かったでしょう。」
「ああ、膝?
問題ないよ。
それより、本当に大丈夫?」
「はい、貴晃さんのおかげで
沢山泣いて、スッキリしました。」
「本当に?そうなら、良いけど。」
「クスっ、大丈夫。
貴晃さん、優しんですね。
あっ、貴晃さん?私に何か用事が
あって電話くれたのではないですか?」
「あ~いや、ここのとこ
杏ちゃんに避けられていて
話が出来なかったから
今日こそは、捕まえようと
朝から、電話したんだ。」
「あの、ごめんなさい。
避けていたわけでは‥‥‥」
「干菜さんだろ?」
「お姉ちゃんとお付き合い
しているのでしょう?」
「いや、してないよ。
何度か、お出掛けのお供は
したけどね。」
と、言うから
「えっ、でもお姉ちゃんは‥‥」
「今は、干菜さんの話しはいいよ。」
と、言われて。
「じゃ、今から僕に付き合って。」
と、言いながら、私の手をとり
歩きだした。