Those who met those lost(失ったもの、出会ったもの)
四項
**何もわかってない
私は、貴晃さんに送られて家につくと
「杏?」
と、名前を呼ばれた。
振り向くと
‥‥‥‥圭さんで‥‥
私の異変に、貴晃さんが
直ぐに私の前に立った。
そして、
「どちら様ですか?」
と、言った。
「私は、川崎と言います。
あなたこそ、誰なんですか?」
「私は、杏ちゃんにプロボーズを
している、芦田と言います。」
「貴晃さん?」
と、言うと
貴晃さんは、振り向いて
唇に人差し指をたてた。
「プロボーズ?
どういう事ですか?
杏は、私の彼女ですよ。」
「えっ、あなたが杏ちゃんの彼氏?
あの、営業のかた?」
「そうですが。
今日は、杏と話したくて来たんです。
よろしいですか?」
と、言った。
私は、貴晃さんの服の裾を握った。
「あなたに杏ちゃんと話す時間を
私が差し上げるとでも?
あなた、どれだけ
杏ちゃんを傷つけたか
お分かりですか?」
「だから、今朝の話がしたくて。」
「ほら、わかってない。
杏ちゃんは、今朝の事だけで
貴方と別れようと思ったわけじゃないんです。
貴方が、杏ちゃんの友人の中井さんに
会社で、言ってた
彼氏が出来なかったら
責任とってください、と言われて
あなた、何て返しました?
わかった。ですよ。
仮にも、彼女がいる人が
そんな軽率な事を言いますか?
杏ちゃんは、そのとき
中井さんが、あなたに好意を
寄せてる事に気づいたそうです。
それからは、どうしていいか
わからずに過ごしていた。
それに先日は、○○ショピングセンターの
ぼうブランド店に中井さんと
いましたよね。
実は、杏ちゃんもいたんです。
電話も繋がらない彼女の
心配もせずに後輩とデートですか?
そして、今日、話に行った
杏ちゃんに追い討ちを掛けた
あなたと中井さんの姿。
あなたは、何故、社内の人間に
杏ちゃんとの交際を隠したのですか?
貴方の中に、何かが
あったからですよね。
同じ男として、情けない。
と、僕は思います。」
と、言った。