Those who met those lost(失ったもの、出会ったもの)
**終わった
俺は、芦田さんからの話しを
茫然として聞いていた。
たしかに、中井にあのとき
責任云々を言われた。
後で、同僚が、総務の高梨さんって
本当に可愛いですよね
って、騒いでいた。
杏が、来ていたからなんだ。
それに、あの買い物のときも。
俺は、いったい
何をしていたんだ。
「杏、すまなかった。
中井は、杏の友人だから、
邪険にも出来ず、
だからといって軽率に返事をして
お前を傷つけてしまい、
本当にごめん。
買い物も、中井に残業頼んだから
お礼に買い物に付き合うように
言われたんだ。
今朝の件は、いいわけもない。
杏を思い過ぎて、深酔いをして
中井を‥‥抱いてしまった。
本当に、なんといったら‥‥」
と、言うと
杏は、貴晃の前にでて
「もういいんです。
きちんと確かめなかった
私も悪いんです。
でも、今度は優愛だけをみて
大事にしてあげて下さい。
さよなら。」
と、言うと
「杏、もうダメか?
俺は、杏を本当に愛してるんだ。」
と、言われて
「それは、錯覚だと思います。
圭さんは、私と離れている間も
変わりなかったでしょう。
それは、優愛がそばにいてくれた
からですよ。
圭さんのお相手は、
私ではなかったのです。」
と、言った。
「杏・・・
‥‥‥本当にすまなかった。」
と、言って
圭さんは肩を落とし帰っていった。
杏は、なぜだか涙が溢れた。
貴晃さんは、それに気づいて
私を抱き締めて
「そんなに、彼が好きだったの?
僕では、駄目なの?」
と、言うが
私は、首をふりながら
「なぜ、涙がでるのか
わからないんです。」
と、答えた。
貴晃さんは、私を離してから
「さあ、家に入りなさい。」
と、言って車に乗り込んだ。
その顔が、凄く寂しげで
私の胸に残った。