Those who met those lost(失ったもの、出会ったもの)

**なぜ、この子だけ


私と尚子は、先生にお礼を言って

それから、杏と話した。
「あのね。
あなたは、高梨 杏と言います。
私は、高梨 圭吾
あなたの父親です。
こちらは、妻の高梨 尚子です。」
「私は‥‥高梨‥‥杏‥?」
「そう、そうよ。
杏っ、私は貴女のお母さん」
「ごめんなさい。
何も思い出せないんです。」
「大丈夫だよ。
ゆっくりで、いいんだ。
私達は、杏が無事でいてくれたら
それだけで、いいんだ。
それに、私達わかる範囲の杏の記憶は、
話していくから。
それでどうかな?
杏、私達と一緒に
杏の住んでいた家に
帰っては、くれないかい?」
「お家に?」
「そう、家に。
先生の許可が出たら。」
「はい、わかりました。」
杏は、疲れて寝てしまったから
先生に時間を貰い話をした。

先生は、
「目の方も、
専門の先生に診て貰えば
治療方法があるかもしれません。
足は、義足を考えられては
と、思います。
娘さんはまだ若いから。

内蔵には問題はありませんから
受入れ先の病院が
決まり次第転移しましょう。」
と、言ってくれた。

圭吾と尚子は
杏を救ってくれた先生に
感謝の気持ちを込めてお礼を言った。

圭吾は、信吾に連絡して
やはり、杏だったと報告した。

それから、
どこの大学病院良いか相談すると
信吾が連絡を取ってくれると
言ってくれたから頼んだ。

私は、尚子と病室に戻り
杏の寝顔をみていた。

あんなに、頑張って
リハビリした足なのに・・・
なぜ、この子だけ・・・
と、尚子は涙が止まらなかった。
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