家族の絆

　エコノミーの割安料金で、シンガポール航空を使って、行きのチャンギ空港まで時間的に便利なユナイテッド航空を利用しても同じアライアンス（alliance）を組んでいるので、20万円代で何とかなりそうだと旅行代理店に確認が取れた。問題はそんな時間がいつ取れるか？仮に現地で午前中の数時間で終わるにしても、少なくとも2日と半日は最低でも必要である。現地が平日であることと、フライトは往復ともに週5便なので、それらを考慮して行き帰りをうまく合わせなくてはならない。これが大きな問題だ。それとフライト費用をどうするかということだ。

　ユキから2度に渡って100万円ずつを受け取っているので、実際に使った費用は160万円弱だから、まだ40数万円は残っていた。このお金は、ユキへの返却、いや、もちろん、200万円を返却しなければならないが、この辺のことをユキに話しておかなくてはならないと思った。
　そのように考えてくると、ヨハネスブルグに行くことを前提に仕事を融通して日程を決めること、それと手持ちの40数万円の内からヨハネスブルグまでの往復旅費として使うこと、併せて、少なくとも1泊するのであれば、その宿泊代や交通費などを含めて活動費として、そこから工面したいという話をユキに了解してもらう必要があると思い、直ちに電話した。
「例のお金、再び、南アフリカに戻ってきたんだ。それで、時間を作ってというか、ヨハネスブルグまで行ってこようと思っているんだ」
　言いたいことを単刀直入に切り出した。
「わかったわ。ともかく逢って話をしましょう」
　言い方が深刻そうだったが、明後日の10月2日に下北沢あたりで8時ぐらいに逢おうかということにした。