家族の絆
女将さんの話を聞くために、早い時期にユキに会いたいと思っていた。海外出張をそれもデジタル放送研究会の代表という形で出掛けたので、本来の情報通信メディア研究所の仕事にどうしてもしわ寄せが来てしまい、全く時間が取れないまま、5月の研究会の当日になってしまった。この研究会のあとでは、いつものようにみんなで軽くいっぱい行ったが、その後一人で、ユキに会いにクラブ〔水蘭〕に立ち寄った。お互いに会うのは3度目になるが、気分的にも少しは打ち解けて話をすることが出来るようになった。この日も、お店に入った時にはお客さんが誰もいなかったが、席に着くなり、二組のお客さんが続けて入ってきた。ユキはママの方を見てお互いに目配せをしていたのが面白かった。居酒屋〔寄り道〕もすでに閉めてしまったのだとぽつんとユキがいったのがなんとなくしんみりとした話ぶりだったので、気になっていた。それに、女将さんの話はまた別の機会にと、前回会った時と同じ応えが返ってきた。お互いの携帯の番号を教えあったのは、この時だった。
それ以降、ユキにたまに連絡を入れるようになっていたし、ユキからも、昼休みに電話がかかってくることがたまにあった。女将さんの話をしたいからというものだった。一緒に食事をしてからその後で、クラブ〔水蘭〕には行かないで、ゆっくり女将さんの話をしたいとユキから申し出があって、何度か約束だけはしていた。しかし、事業部とのミーティングが急遽設定されたり、試作を依頼している協力会社からお話したいことがあると急に訪問を受けることになってしまったりと、当日のお昼過ぎに約束を急にキャンセルすることが重なってしまった。
それ以降、ユキにたまに連絡を入れるようになっていたし、ユキからも、昼休みに電話がかかってくることがたまにあった。女将さんの話をしたいからというものだった。一緒に食事をしてからその後で、クラブ〔水蘭〕には行かないで、ゆっくり女将さんの話をしたいとユキから申し出があって、何度か約束だけはしていた。しかし、事業部とのミーティングが急遽設定されたり、試作を依頼している協力会社からお話したいことがあると急に訪問を受けることになってしまったりと、当日のお昼過ぎに約束を急にキャンセルすることが重なってしまった。