家族の絆
 午後の会議は5時までの予定であったが、予想通り長引いて、終わったのは6時10分前だった。それから、ナイジェリアのジョーに電話をかけた。電話を待っていたようで直ちにジョーがでてきた。
 今、契約書を含めた書類を準備している。そのために二通ほどレターを書いてもらう必要があるが、それは後ほど、メールで指示する。2年前の失敗のことも話して、絶対に裏切らないように頼む、と何度も同じことをいった。それと家族の話も話題として少し出て来た。
 ともかく、ジョーと直接話し合うことが出来て少しは気が楽になった。相手もそんな感じがした。しかし、現実には何も解決されたわけではなかった。アフリカ人の英語に触れるのは初めてだった。インド英語ほどではないが、日本人には聞き取りにくいなまりがあると思った。〔オーレンジ〕これが聞き取りにくかった。それに何のことだか?丸い範囲?ではますます解らない。暗号がどうのといっていたので、その暗号のキーのように思ったのだったが自信はなかった。

 その日はユキのことも気がかりだった。毎日のようにメールはお互いにしていたが、実際に会ったのは、7月18日の活動報告会のあった日だから、10日余り前である。このアフリカの件については誰かに相談したいようでもあり、変な雰囲気であった。
 ユキのそばにいる時のゆったりとした雰囲気が欲しいと思った。
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