家族の絆

　この日は休み明けということで、朝から立て続けに会議があり、返事を書く余裕が全くなかった。夜になって、やっと、電話をすることが出来た。しかし、最初に電話に出た人は、ジョーになんとなく似た口調だったが、暗号は？と聞いてもあなたは誰だとの質問しか返ってこなかったので、即座に切った。一時間以上を経て、掛け直したら、今度は"orange"が返ってきた。
『お金が工面できないので、贈り物は買えない。ということを話したが、それに対してこのビジネスの重要性がわかっているのか？トータルの額に比べたらたいした額ではないではないか。そう思うのだったら、そちらから資金を融通してくれてもいいのではないか。ともかく、このビジネスが成功するように努力するから、そちらも頑張ってくれ』
　お互いに言い合いになってしまったが、おそらく30分以上話し合っていたように思う。

　翌朝は簡単なメールがジョーから来た。
『あなたのこのビジネスに対する対応には大変失望した。しかし、どうしても成功させたいので、こちらで出来ることを更に続けてやります。ナイジェリア時間の午後5時に電話して欲しい』というものだった。

　これに対して、『こちらだって同じく失望しているし、午後5時というと日本では夜中の12時だからもっと別の時間、そちらの朝、すなわちこちらの夕方が好ましい』とこちらも簡単なメールを返した。