君の瞳に映る世界
去ってゆく君
あれから、数日。
ついに明日、私は退院する。
長いようで、短かった入院生活も、ようやく終わる。
なのだけど……
『返事をしてない?!』
電話越しに、幸ちゃんの声が響く。
キーンとした声に、私は思わず眉をひそめた。
「幸ちゃん、私まだ一応病院の中にいるから、あんまり大きな声は……」
『あ、ごめん……
でも!告白してくれたのに、返事してないってどういうこと?!』
そう、あの日の返事を、私はまだ出来ないでいた。
「だって……あれから、なんとなく気まずくて、話してないし……」
『明日になっちゃったら、もう会えないんだよ?!
連絡先だって交換してないんでしょ?』
「うん……」
『里沙ちゃんは、このまま離れちゃってもいいの?!』
いいわけない。
でも、どうしても、勇気が出ないんだ……