君の瞳に映る世界
優しい声が、笑顔が、頭の中でゆっくりと消えていく。
「っ、別れたくないよぉっ……!」
喉がキューッと閉まって、声を出すのが辛い。
足から力が抜けて、ヘタヘタと座り込んでしまった。
ああ、やってしまった。
幸ちゃんに言われていたのに。
後悔だけはしないようにって。
なのに……
私がぐずぐすしている間に、取り返しのつかない事になってしまった。
逢坂くんは、もう帰ってこない。
「っうわぁぁぁっ!!」
病室に、叫ぶような泣き声が響く。
お医者さんも、看護師さんも、黙ってそこにいてくれた。
私は、彼のベットに顔をうずめて、声を上げて泣き続けた。
まだ少しだけ温かい彼の指先が、生きていた事を、生々しく証明している。
その手をギュッと握りながら、私は涙を流した。