君の瞳に映る世界
初めて見る景色に、私は戸惑ってしまった。
木って、もっと黒いんじゃないの?
まるで、異世界に来ちゃったみたい……
「どういうこと……?」
「里沙ちゃん?どうしたの?」
私、色が見えるようになったの……?
その時、ハッとなって、逢坂くんを見た。
眠っているように穏やかな彼を見て、あの言葉が思い浮かんだ。
『僕が、君に色を見せてあげる』
「本当に、見せてくれた……」
私の願いを、叶えてくれた……
そうか、彼の死こそが
私にとって、最大級のショックだったんだ……
「里沙ちゃん?」
名前を呼ばれ、振り返ると、看護師さんとお医者さんが心配そうに見つめていた。
「里沙ちゃん、大丈夫?」
「あの、看護師さん、私……」