君の瞳に映る世界
「まさか……返事しなかったの?」
「……できなかった」
私は、後ろで手を組ながら、無理に笑顔を作った。
「幸ちゃんと電話した日に、逢坂くん亡くなっちゃったんだ」
「え……」
幸ちゃんは、目を大きく見開いた。
びっくりしたよね。
私も驚いた。
だって、この間まで元気だったのに、急に行っちゃうんだもん。
「ずるいよね、私の返事も聞かずに行っちゃうなんてさ」
違う、悪いのは私だ。
覚悟を決めるのが、遅かったんだ……
幸ちゃんは、何も言わなかった。
「幸ちゃん、大丈夫?」
「……里沙ちゃんは、大丈夫なの?」
「私は……大丈夫だよ」
大丈夫、大丈夫。
私は、ちゃんと1人で立ててるもの。