君の瞳に映る世界


―――ザザーン




読み終わると、穏やかな波が足元まで押し寄せてきた。




逢坂くんらしい、丁寧な手紙だったな。




だけど……




「酷い人だ」




私の心に、こんなに存在を残すようなことをしておいて、忘れろ、なんて……




ホントに自分勝手。




私は目元をぐしぐしと擦って、前を向いた。




拝啓、逢坂颯くん。




私の事、もう忘れてしまったでしょうか。




三津島里沙です。




君は私に、ありがとうと言ったけど、それは私の方です。




ありがとう、あなたのおかげで、私の世界はとても変わりました。




様々な物に色が現れて、世界が見違えるようにカラフルになりました。




あなたのおかげです。




< 125 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop