君の瞳に映る世界
―――ザザーン
読み終わると、穏やかな波が足元まで押し寄せてきた。
逢坂くんらしい、丁寧な手紙だったな。
だけど……
「酷い人だ」
私の心に、こんなに存在を残すようなことをしておいて、忘れろ、なんて……
ホントに自分勝手。
私は目元をぐしぐしと擦って、前を向いた。
拝啓、逢坂颯くん。
私の事、もう忘れてしまったでしょうか。
三津島里沙です。
君は私に、ありがとうと言ったけど、それは私の方です。
ありがとう、あなたのおかげで、私の世界はとても変わりました。
様々な物に色が現れて、世界が見違えるようにカラフルになりました。
あなたのおかげです。