君の瞳に映る世界
病院での1日のサイクルって決まっているから、結構退屈なんだよね。
やること分かっちゃってるし、基本的にはベットの上だし、人も来ないから、動けないと飽きちゃうんだよね。
でも、まあ、看護師さんとも少しは話す仲になったし、あんまり嬉しくないけど、顧問の先生も、今のところ来てくれてるし、全く刺激がないわけじゃない。
けど……1日の半分以上が退屈な時間なのには変わりない。
私は、備え付けの小さなタンスから、スケッチブックと鉛筆を取り出した。
そして、窓の外のスケッチを始めた。
窓の枠を額縁を見立てて、その中の風景を、私は手元の紙に描き写していく。
真っ白な世界に、私の鉛筆が私の世界を刻み込んでいく。
白と黒のコントラストが、キャンパスに描かれている。
ここからは、海が少しだけ見えるから、外にいればきっと、かすかに香る潮のにおいや潮風が優しく漂ってくるんだろうな。
どうやってら、この絵を見た人が、それを感じてくれるだろう。
伝えるためには、どう描いたらいいかな。
自分の描く世界に、線や影が加えられていくごとに、ワクワクが高まっていく。
これだから、絵を描くのはやめられない。
だって、キャンパスの中では、私の世界は否定されない。
沢山の人に見てもらえれば、それだけ私の見てるものを共有してくれるってことだから。