君の瞳に映る世界


行ったり来たり、彼はスケッチブックをめくる。




描き溜めた私の絵が、いくつも顔を出していた。




「ねえ、色彩画は描かないの?」




「え……」




「ここには、鉛筆のスケッチしかないから」




「あー……」




言ってしまおうか。




いや、でもまだそんな仲では……




私は、ふいっと目線を逸らした。




「……白黒の絵が、好きなの」




「へえ、そうなんだ。

 でも、今度は色も使ってよ。

 君の描く色彩画、僕見てみたいな」




チラッと彼を見てみると、相変わらずのニコニコ笑顔だった。




私も、また釣られてフフッと笑ってしまった。




「気が向いたらね」




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