君の瞳に映る世界


「そうだ!ねえ、そろそろ松葉杖使って歩ける?」




覗き込むように私の視界に入ってきた、彼の綺麗な顔。




ちょっと、ドキッとした。




「ちょ、近いっ!」




「あ、ごめん」




私が慌てて距離をとると、彼は少しだけ、しょぼんとしていた。




え、あの距離って普通なの?




私が免疫無さすぎ?




いや、今はそんな事どうでもいい……




「……一応、もう歩いていいよとは言われてるけど……?」




「ホント?!

 じゃあ、今から応接ルーム行こうよ!」




「応接ルーム?」




応接ルームっていうのは、患者さん同士でお話ができる、専用の部屋みたいな所。




本来なら、私達もそこでお話するべきなんだけどね。




まだ私が歩けないってことで、特別に許可を貰っていた。




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