君の瞳に映る世界
「ねえ、里沙おねーちゃん!
何か描いて!」
「な、何かって……」
急な無茶ぶりで、戸惑いながら逢坂くんをチラッと見た。
助けを求めて目線を送ったのに、彼はクスッと笑った。
わ、笑ってないで助けてよ……!
「うーん……」
私、イラストはあんまり得意じゃないんだけどな……
そう思いつつも、私はペンを取った。
近くにあった、らくがき帳にペンを走らせると、2人が覗き込んできた。
「……できた」
2人に出来上がった絵を見せると、たちまち太陽みたいな笑顔になった。
「わあ、すごい!
里沙ちゃん、これ美咲だよね?!」
「うん、そうだよ」
悩んだ末に、私は彼女のイラストを描いた。
ニッコリ笑った、さっき会ったばかりの少女の笑顔が、そこには描かれていた。
「すごい、すごい!かわいいー!!」
こんな落書きで、ここまで喜んでくれるなんて……
なんだか、かわいいな。