君の瞳に映る世界


「みんなー!見て見て-!!」




「あっ、ちょ……!」




止める暇もなく、彼女はらくがき帳を持って、友達の所へ行ってしまった。




すると、全員がパズルを組み立てる手を止めて、美咲ちゃんの手元を覗き込んだ。




「わぁ!すごい!」




「かわいいー!」




わちゃわちゃと女の子が輪になって、らくがき帳を見ている。




次々と上がる歓声に、少し照れくさくなった。




やがて、気まずさから私は逢坂くんに声をかけた。




「い、いいのかな……

 あんな簡単な絵で、あんなに喜んでもらっちゃって……」




「君にとっては簡単でも、あの子達には特別で、すごく新鮮な絵なんだよ、きっと」




「そう、なのかなぁ……」




< 29 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop