君の瞳に映る世界
「さて、と……」
半日以上座っていた椅子から立ち上がろうとした時、スッと手が差し伸べられた。
「大丈夫?もしよかったら、摑まって」
「ありがとう」
逢坂くんに、また支えてもらいながら、ゆっくり立ち上がった。
すでに2人だけになった応接ルームを、私達もあとにした。
2人でゆっくりと廊下を歩きながら、私は彼に話しかけた。
「今日、来てくれてありがとう」
「え?」
彼が、前を向きながら話す。
私が松葉杖をついてきるから、歩く速度は大分ゆっくりだけど、彼はその速さに合わせてくれている。
「ここにいる小さな子達は、入院している期間が長いんだ。
だから、長いこと家族と離れて怪我や病気と闘っている」
「あ……」
そうか、あんまりあの子達が元気だから、忘れていたけど……
ここにいるってことは、何かしらの故障があるわけで……