君の瞳に映る世界
震える指先~幸Said~
「……どう、しよう……」
スマホを持つ手が、震える。
画面は真っ暗なのに、さっきまでのグループチャットが、頭から離れない。
『幸、里沙の入院した病院わかる?』
『お見舞い行きたいんだけどさー、先生教えてくんなくて』
『ほら、あの事も報告しなきゃいけないし!』
だめ、この人達を、里沙ちゃんに会わせちゃいけない。
頭では分かってるのに、なかなか文字にできなかった。
この人達は、里沙ちゃんに怪我をさせた人達だ。
いじめの中心人物だし、“あの事”も、里沙ちゃんを傷つけることなのも、知ってる。
絶対に、会わせちゃいけない。
そう、分かってるのに……
『もちろん、幸も来るよね』
「っ……」
映し出された文字に、私は息を飲んだ。