君の瞳に映る世界
「里沙ちゃん、これ……」
そう言って、先輩はキャンパスを私に見せた。
そこに描かれていた絵を見て、私は目を見開いた。
「これ……」
私が怪我する前にコンクールに出そうと思ってた絵だ。
まだ完成してなくて下書きの状態なんだけど……
なんで、先輩が持ってるんだろう。
そう思いながらも、私はスッと手を伸ばして絵に触れようとした。
だけど、その瞬間、先輩はサッとその絵を隠してしまった。
「え……?」
不思議に思って先輩を見てみると、今まで俯いていた先輩達が、一斉にパッと顔を上げた。
全員、満面の笑みで。
「ありがとう、里沙ちゃん。
こんな素敵な下書きを置いていってくれて。
おかげで、コンクールで優秀賞を取れたわ!」
「え……?」
なに、なに言ってるの、この人?