君の瞳に映る世界


そう言うと、先輩はパッと私の首元から手を放した。




「あーあ、なんだか気分最悪。

 もう帰ろ、行こう皆」




「それじゃ里沙ちゃん、また部活でね。

 まあ、来れれば、だけど」




「ばいばい、里沙ちゃん」




3人の先輩は、さっさと部屋を出て帰ってしまった。




ただ1人、幸ちゃんだけを残して。




幸ちゃんは、ジッと足元を見ていた。




でも、何か話しかけるほどの気力も、気遣いも、今の私にはできなかった。




ベットを見つめて、現実を受け止めるので精一杯だった。




しばらく沈黙が続いた後、幸ちゃんがおずおずと話しかけてきた。




「あの……里沙ちゃん……」




名前を呼ばれても、顔を上げられなかった。




「あの、あのね、私……」




「なんで、止めてくれなかったの」




「え……」




「盗作、近くで見てたんでしょう?

 画家として、恥ずかしくないの?」




幸ちゃんは、黙ってしまった。




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