君の瞳に映る世界
どうして、そこで黙るのよ……
私は、グッと拳を握り締めた。
「あの絵……私が描いてたの、幸ちゃんも知ってたよね?
どうして、守ってくれなかったの」
まだ、何も言ってくれない。
苦しいとき、辛いとき、幸ちゃんなら傍にいて、味方してくれるって思ってたのに……
あの時も、今回も、幸ちゃんは一緒にいてくれないんだね……
友達だから、そうしてくれるって思ってたけど、違うんだね。
そう思ったら、急に目が熱くなって声が震えた。
「そっか。
友達だから、味方してくれると思ってたけど……
友達だと思ってたのは、私だけだったんだね……」
「っち、違う!
そんなことないよ!!」
「うるさいっ!!」
そう怒鳴ると、幸ちゃんがビクッと体を震わせるのが、目の端に映った。
「もう、帰って!
あんたの顔なんか、2度と見たくない!!」
両目に沢山の涙を溜めながら、私は顔を上げた。
滲む視界の中で、ぼんやりと幸ちゃんが見えた。
よくは見えなかったけど、困惑してるみたいだった。
「大嫌い……!」
擦れた声でそう言うと、幸ちゃんは、ゆっくりと俯いた。
そして、小さく呟いた。
「……ごめんね……」
フラフラと扉の方まで歩いていくと、彼女は静かに部屋を出て行った。