君の瞳に映る世界
「あの……すみません、いきなり泣いちゃって……」
「いえ、大丈夫ですよ」
さりげなく、彼女の顔を見てみると、目が少し赤くなっているけど、もう涙は止まっているみたいだった。
「その……よかったら、お名前教えてくれませんか」
「え……」
「僕は、逢坂颯。あなたは?」
「……高橋、幸です」
「幸さんか。
いい名前ですね」
沢山の緑に囲まれながら、僕たちはポツポツと話をした。
制服を着ていたから、なんとなく予感はしていたけど、彼女も僕と同い年だった。
今日は、友達のお見舞いに来たらしい。
「こんなこと聞くの、失礼かもしれないんですけど……
お友達は、あまり良くないんですか?
その……泣かれていたので」
「いいえ、そんなことはないんですよ。
ただ……とても、傷つけてしまったんです」
「傷つけた?」
「はい。
友達の、1番大切なものを、壊してしまったんです……」
「……詳しく聞いても?」
そう聞くと、幸ちゃんはコクンッと頷いた。
涼しい風が吹く中で、彼女は少しずつ話してくれた。