君の瞳に映る世界
里沙ちゃん?
里沙ちゃんって、もしかして……
い、いやいや!今はそんなことより……
「恩人?」
「うん、実は、里沙ちゃんがいじめられる前は……私が、いじめられてたから」
「え……」
「私、全然絵が上手じゃなくて、先輩達から嫌なこと沢山されて……
もう、辞めようかなって思った時に、里沙ちゃんが、こう言ってくれたの」
『あなたの絵、とっても優しくて好きだけど……
絵、描くの辞めちゃうの?』
「その言葉が心に残って、私は今も絵を描けてるんだ」
すると、幸ちゃんは懐かしそうに笑った。
「本当に、大切な友達なのに、私は……」
『大嫌い……』
「あんな風に、言われちゃうなんて……
もう、友達でいられなくなったら、どうしよう……」
「……君の気持ちは、よく分かったよ。
君が苦しんでることも、分かった」
そういうと、幸ちゃんはゆっくりと顔を上げた。
今にも、泣き出しそうな顔。
ねえ、幸ちゃん。
君は今、とても臆病になってしまっているんだね。
でも、このままでいいとは思っていないでしょう?