君の瞳に映る世界


「何、すんのよ」




「見れば分かるでしょ。

 君の行動を止めてるんだよ」




「止めないでよ。

 私は、もう死にたいの」




もう、うんざりなのよ。




お願いだから、手を離してよ……




だけど、そんな私の思いとは裏腹に、逢坂くんはしっかりと私の手首を掴んでいた。




「ここは、命が集まる場所だ。

 もっと生きたいと言って、零れ落ちていった命を僕は沢山見てきた。

 だから、君がその命を無碍にしようとしているなら……

 僕は、君を絶対に許さない」




彼の声は、本気だった。




しかも、何よその目。




軽蔑するような目。




あんたも、結局そんな目を向けるのね。




「なんで、あんたにそんな事言われなきゃいけないのよ。

 なんにも知らないくせに……」




「死のうとしてる人を止めるのは、いけないことなのか?

 少なくとも、僕は君が現実から逃げようとしてるってのを知ってるよ」




< 64 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop