君の瞳に映る世界
「君がいなくなれば、僕は傷つく。
それが、君が与えるきっかけだ」
まっすぐに私を見つめる目に、今度は顔を逸らせなかった。
綺麗な2つの瞳が、私を捉えて離さない。
「人がきっかけを与えるには、相手が必要だ。
自分のことを見てくれる人がいなければ、何をしても刺激にならないからね」
すると、ふわっと笑った。
とても優しく、そして……ちょっぴり、悲しそうに。
「里沙ちゃん、僕はちゃんと君のことが見えてるよ。
君は、独りぼっちじゃない」
「っ!」
窓なんか開けてないはずなのに、風が吹き込んできた気がした。
彼の言葉は、暖かい笑顔と共に、ゆっくりと私の心に染み渡っていた。
ゆっくり、じわじわと、少しだけ痺れるように……