君の瞳に映る世界
だからっ、と言って幸ちゃんは顔を上げた。
眉を潜めて、目を真っ赤にしながら。
「お願い、里沙ちゃんっ……
死なないで……!」
グズグズの友達を見て、私は思わずクスッと笑ってしまった。
私なんかのために、こんなになってくれて……
手を伸ばし、親指で優しく彼女の涙を拭った。
「里沙ちゃん……?」
「変なの、さっきまですっごいすっごい、怒ってたのに……
もう、どうでもよくなっちゃったよ」
ねえ、幸ちゃん。
私も、1人でいるのは辛かったよ。
また、友達に戻れるかな、私達。
「幸ちゃん、ありがとう。
また、私と友達になってくれる?」
「っ!!」
すると、幸ちゃんはまた私を抱きしめた。
強く、ギュッと。
その様子を近くで見ていた逢坂くんは、優しくポツッと言った。
「ほら、君は1人なんかじゃない」
「うん……」
僕も、あの子も、君の傍にいるから。
ああ、なんて温かい。
幸ちゃんの温もりも、逢坂くんの温もりも、今ならちゃんと分かる。
ありがとう、ありがとう。
そう思いながら、私は幸ちゃんを抱きしめ返した。