君の瞳に映る世界
もう1度、美咲ちゃんの姿を見てみると、彼女は入院着ではなく、かわいらしいワンピースに身を包んでいた。
そうか、ここは病院……
病気や怪我が治れば、いずれは去らなきゃいけないんだよね……
別れなきゃ、いけないんだ……
「そっか……寂しくなるね」
別れのはずなのに、美咲ちゃんは満面の笑みを浮かべていた。
「里沙ちゃーん、またねー!」
「っ!」
そう言うと、美咲ちゃんはお母さんに手を引かれていった。
私も、慌てて手を振った。
またね……
それが、こんなに温かいものだったって、思い出した。
本当に、ここでは教えてもらってばっかり……
「美咲ちゃんよかったね。
今度は、また違う場所で会いたいね」
「うん……」
隣に立つ逢坂くんと、2人で美咲ちゃんの後ろ姿を見送った。