君の瞳に映る世界


だから、私は……




「でもね、里沙ちゃん」




すると、幸ちゃんは真っ直ぐと私を見つめた。




「自分の気持ちに、嘘をついちゃだめよ」




「え……」




「里沙ちゃん、自分の気持ちから逃げちゃだめだよ。

 いつか絶対、後悔するよ」




幸ちゃんの言葉が、私の心に、スルスルと入り込んでくる。




その瞬間、私の頭に思い浮かんだのは……




『里沙ちゃん』




優しい声で、私の名前を呼ぶ、彼の笑顔だった。




ああもう、駄目だってば。




こうなったら、認めるしかないじゃない。




嫌だったのに。




だって、認めてしまったら……




もう、この気持ちは止められない。




< 87 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop