君の瞳に映る世界
「亜樹ちゃん、あっちで一緒に遊ぼう!」
小さな手が、小さな手を引いて行った。
ああ、あの光景、なんだか見覚えがあるな。
私も、そうだった。
『おねーちゃんも、一緒にやろう!』
美咲ちゃんの小さな手に手招きされて、ここに入っていった。
たった2ヵ月前のことなのに、随分と前の事に感じるな。
「あれ……里沙ちゃん、松葉杖は?」
亜樹ちゃんを送り出した後、逢坂くんがやって来てそう言った。
「あ……もう取っていいって先生が」
「そう……」
すると、逢坂くんはポツッと言った。
「退院、近いんだね……」
「……うん」
2人の間に、沈黙が流れる。
このまま、ここから居なくなれば、逢坂くんとはこれっきりになってしまう。
だけど、それでいいのかな。
このままで、いいのかな……
『里沙ちゃんは、私みたいに後悔しないでね』
幸ちゃんの言葉を思い出して、私は口を開いた。