君の瞳に映る世界
「え……?」
「今まで黙ってたんだけど……
私、生まれた時から、色が分からないんだ……」
「里沙ちゃん、足の怪我で入院してたんじゃないの……?」
「それも、本当。
だけど、私にはもう1つ、色彩障害があるんだ。
でも、治すために入院したんじゃないの」
きっと、この病気は治らないから……
「何か大きなショックがあれば、治るみたいなんだけど……
今まで、そんなことは無かったみたい。
だから、きっとこれから先も……」
逢坂くんは、黙って聞いてくれた。
引いた、かな。
私は、思わずギュッと目を瞑った。
「逢坂くん、前に水彩画は描かないの?って言ってたよね。
描かないんじゃなくて、描けないんだ……
黙ってて、ごめんね」
全てを話し終わっても、逢坂くんは何も言わなかった。
やっぱり話さなきゃよかったかな……と思ったその時。
「里沙ちゃん、目を開けて?」