子うさぎと狼さんの恋物語。
「ん~、空気が美味しいってまさにこのことだね!
それにすごくいい眺め。お城も小さく見える!」


この世界に来た時の草原も眺めは良かったが、この山からの眺めの方が何倍も綺麗に見えた。


ここに来た時よりも、気が楽になっているせいだろう。


都会育ちの心愛にとっては珍しい体験なのか、心愛は太陽に照らされた街を、しばらく眺め続けていた。


「あ、もう帰らなきゃ日が暮れちゃう!」


心愛は、まだ見たいと思う気持ちを我慢して山を降りていった。


「ただいまー!」


「おかえり心愛。楽しかったかい?」


「うん!すごく綺麗な眺めだったよ!」


「それはよかったね。ほらご飯にしよう。」


「はーい!」


その日から心愛は、暇な時があるとすっかりお気に入りになった山の景色を見に行っていた。

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