子うさぎと狼さんの恋物語。
見るからに、どうやらここは高台のようだ。
「ここにいても何もわかんないし、とりあえずあそこの街へ行ってみよう!
ここがどこだかわかんないけど、絶対に帰って楽しい高校生活を送るんだから!」
そう決心した心愛は、近くにあった細い山道から下へと歩いていった。
道のりは思ったよりも長く、スウェットに裸足では到底つけない距離だった。
それでもなんとか足を前へ進めていった。
「っ...」
しかしあまり整備されていないため、小石に足をとられては転びそうになり、傷が増え、体力も限界へ差し掛かっていた。
そのとき、微かに人々の声が聞こえてきた。
丁度、朝の賑わう時間帯だったようだ。
その声を聞いた心愛は、疲れを忘れたように止まりかけていた足を動かし、小走りで街へと向かった。