子うさぎと狼さんの恋物語。
辺りはすっかり暗くなってしまったが、街はすぐそこまで見えていた。


ヴォルクは、街の1歩手前で歩みを止めた。
満月の夜だけ姿を変えられるという話になっているため、狼の姿をほかの人に見せるわけにはいかないからだ。


少女のほうを見ると、街の明かりを見たからか、笑顔も戻り安心していた。


これなら大丈夫だろう。


街の明かりに照らされた笑顔に、ヴォルクはまた胸が高鳴った。
そして、街に背を向けて走り出した。


そんな中、遠くで少女の「ありがとう」という声が聞こえた。
その言葉が、さらにヴォルクの心を満たし、幸せな気持ちにさせた。


必ず見つけ出してやる。


ヴォルクは固い決意と共に闇の中に消えていった。
< 41 / 67 >

この作品をシェア

pagetop