子うさぎと狼さんの恋物語。
「とりあえずこのハーブティーをお飲み。
甘くて香りもいいから少しは落ち着くだろう。」
おばあさんの家に着くと、私が落ち着くようにとハーブティーを入れてくれた。
「いただきます。」
1口飲むと、甘い香りが広がり、一瞬で幸せな気分になった。今までで飲んだハーブティーの中で、ダントツでおいしかった。
「おいしいっ!」
「それはよかった。これはフレード王国で一番有名な、サナリアという純白の花から作ったんだ。
ここ、王都のソフィールではサナリアを使った品が数多く売られていてね、この王都を潤しているんだよ。」
そっか、ここはフレード王国という国の王都ソフィール...。
やっぱり日本じゃないんだ。それに、フレード王国という国自体聞いたことがない。
「どうしたんだい?」
急に暗くなった私を、心配した様子でおばあさんが見つめている。
私に起きた出来事を信じてもらえるかはわからないけど、今の状況を知るためにも話してみようと思った。