世界のまんなかで笑うキミへ
頭上に広がる青い空が、グラデーションをつくっていた。
今日の午前十時前、私の家の最寄り駅に、颯が電車に乗ってやってくることになっている。
今から駅へ彼を迎えにいって、それから駄菓子屋へ行く予定だ。
見慣れた地元の住宅街を歩きながら、何故だか心臓がいつもより早く脈打つのを感じる。
私は一体、何にドキドキしているのだろう。
男の子とふたりきりでどこかへ行くのは初めてだからか、それとも颯を描くのが楽しみだからか。
歩くたび、がしゃがしゃとバッグの中の画材が音を立てた。そのリズムに急かされるように、私は駅へと早足で歩いた。
*
「おはよー、理央」
日曜日だからかいつもより人が少ない駅の改札を通って、颯は爽やかな笑顔で私に声をかけた。