世界のまんなかで笑うキミへ
そして何より不可解なのは………透明になった颯の身体を見ているのは、恐らく私だけだということだ。
人の身体が透けるなんてあり得ないこと、実際に目にしたら落ち着いてなんかいられないだろう。
颯と知り合って約一ヶ月、私は三度彼が透明になるのを見た。
だけど学校の男子たちは、私よりずっと長く颯といるはずで。この短期間にこの割合で透明になるなら、当然彼らだって颯の身体が透明になったのを見たことがあるはずだ。
なのに、少しも噂にならない。
何故?
ーー私だけが、透明に見えているから。
そう考えると、やっぱり私の目がおかしいだけなのでは、と思えてくる。
颯は私の話を信じてくれると言ったけれど、本当に私の話は真実なのだろうか。
私だけ、おかしな幻を見ているのではないか。
考えれば考えるほど、自分の目が信じられなくなっていった。
怖くなって、また泣いた。泣き疲れると、そのままベッドに入って寝た。