世界のまんなかで笑うキミへ



「それでね、お兄ちゃんがね、ひどいんだよー!『お前は勉強したってムダだ』って言うの!超ムカつく!だからあたし、次のテストは頑張るって決めたの!」


友達の眞子とお弁当を食べながら、彼女の話を聞く。


眞子はさっきからお兄さんの話ばかりしている。可愛らしく頬を膨らませているけれど、あまり怒っているという感じはしない。


眞子の話はなんていうか平和で、聞いているだけで穏やかな気持ちになれた。


「ちょっとトイレ行ってくるね」

「はーい」


眞子に一言断って、席を立った。


何も考えずに廊下を歩いて、トイレへ向かう。


けれど、中から女子の話し声が聞こえて、私は足を止めた。



「だからさ、一緒に歩いてたんだって!颯と中野さんが!」



………え。


どく、と心臓が跳ねる。背中は冷や汗をかき始めた。その場から動くことができない。



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