世界のまんなかで笑うキミへ


「中野さんって………あー、三組のあの地味な子でしょ?うそぉ、絶対颯と合わないじゃん」

「でも友達が駅で見たって言ってんの!最近、放課後になったらいつも颯が美術室に行ってるらしいし」

「えー!マジで!?付き合ってんの!?」


彼女たちの会話が、私の頭の中を駆け巡る。


見られてた……昨日のこと。駅で私が颯を迎えに行ったときだ。


私の地元からこの高校に通っている人が少ないから、油断していた。


「えー、ショックなんだけど。中野さんって、絵が上手いくらいで、あとはフツーじゃん。てか地味。そんなに可愛くもないし」

「だよねえ?颯とつり合ってない。絶対颯が気まぐれでかまってあげてるだけだよ」


理不尽な言われように、胸の奥がじくじくと痛む。


なんで私が、こんなこと言われなきゃいけないんだ。


自分が地味なことはわかってる。絵くらいしか取り柄がないことも。


そんなこと他人に言われなくたって、私がいちばん知ってるよ。


颯と仲良くしたから?



だから今更、こんなこと言われなきゃいけないの?




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