世界のまんなかで笑うキミへ
▼第四章

心を守るために




あれから二週間が経った、六月の中旬。


颯は週に三回くらいのペースで、 美術室に来るようになった。


私はこの二週間、駄菓子屋で描いた颯の絵を、比較的大きなパネルで描き直す作業をしていた。


一枚くらい大きな絵で、ちゃんとしたものを描きたいと思ったからだ。


しっかりとした形で絵を完成させる、という意味でも、私にはいいリハビリになる気がした。



私と颯が付き合っているという噂は、学年のほとんどの人に知れ渡るようになってしまった。


校内で颯と会話することを、私が躊躇わなくなったからだ。


当然眞子の耳にも入ることになり、真相を迫られてキッパリと否定すると、とても残念がられた。


私にはもともと色恋に関する話が少ないし、それが眞子的につまらないんだろう。だからって勝手に期待するのはやめてほしい。



眞子以外にも、クラスメイトの女子が尋ねてくることもある。


その度に一応否定しているけれど、しばらく噂は消えそうにないなと思った。わざわざ学年中に否定して回る必要もない。




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