世界のまんなかで笑うキミへ
彼のさっきの言葉が頭の中を回る。美術室を好きだと言ってくれたことが、すごく嬉しかった。
「どしたの、理央」
「な、なんでもない」
どんな顔をすればいいのかわからない私を見て、颯が首をかしげる。
なんだか照れくさくて、むずむずして、だけど心地よい。
………これからもずっと、ここにいればいいのに。
「それで、湯浅先生は今日、何のご用でいらしたんですか」
古田先輩がそう言うと、先生はわざとらしくムッとした顔をした。
「なーによ。用がなきゃ来ちゃいけないの」
「いえ、そういうわけでは……」
「冗談よ。これでも一ヶ月に一度は行こうって決めてるからね。ちょうど時間ができたから来たの。あとは、尻叩きに」
そのとき、先生の目がちらりと私に向いた。ドキッとして、思わず目をそらす。
………私が今スランプに陥っていることは、先生も知っている。
彼女も前は『誰にでもあるもんよ。私も昔はよくあった』と笑ってくれたけれど、スランプになってもう半年が経つ。
そろそろ立ち直れということだろう。