世界のまんなかで笑うキミへ
「……そ。ってことは、文化祭は出さないんだね」
「はい」
「わかった。じゃあ今年は、中野だけか」
先生の目が、こちらへ向く。
今度こそ、そらさないよう堪えて、見つめ返した。
「他の幽霊部員たちは、たぶん文化祭には出さない。さみしいけど、うちの部は今年中野の絵だけになりそうだね」
「……わかりました」
「中野」
先生の目が、じっと私を見つめる。
ドキッとして、肩が小さく震えた。
「あんたはまだ……自分の絵に、自信は持てない?」
「………はい」
最近は颯を描くことで、ようやく絵を描く楽しさを思い出し始めた。
だけど、問題である塗り方やテイストは、決めきれていない。
どれが自分に合っていて、かつ人に認めてもらえるのか。他校を相手に通用するのか、私はまだわかっていない。
結局、私はあの展覧会からもう半年が経とうとしているのに、何も成長できていないんだ。
だから少しくらいは叱られても仕方ないと思っていたけれど、先生は「そう」と一言呟いて、目を細めただけだった。