世界のまんなかで笑うキミへ
「どれ持っていくの?」
「そこの机に置いてるやつ全部。大丈夫だとは思うけど、颯も一応貴重品は持っていった方がいいかも」
「わかったー。めんどくせーからリュックごと持ってく。理央のも持っていっていい?」
「え、ああ、ありがと……」
颯は自分のリュックを背負うと、私のものも肩にかけてくれて、バケツとレジャーシートも持ってくれた。
私が結局持っているのは、水彩絵の具の入ったカバンと紙だけだ。
なんだか私が颯をパシリにしてるみたいで、申し訳なくなった。
「なんか……ごめん。色々持たせて」
「え?いや、いいよ。なんか楽しいから」
何が楽しいのかわからないけど、颯は上機嫌だったから、それ以上は気にしないことにした。
それから昇降口で靴を履いて外へ出て、中庭に向かった。
適当なアングルのところでレジャーシートを敷いて、ふたりで座る。
私が近くの水道でバケツに水を汲んで戻ってくると、颯は豪快に寝転がっていた。
頭と上半身だけシートの上で、あとは草の上だ。