世界のまんなかで笑うキミへ
「別に……暗くなってるわけじゃない」
「わかってるよ、考えてたんだろ。でも、こんなとこ来てまで、んな真剣に考えなくても良いじゃん。今日は忘れて楽しもーよ」
颯がペットボトルのフタを開ける。パキッという軽快な音がした。
「……うん」
私もペットボトルを開けた。もやもやした感情ごと流し込むように、オレンジジュースを飲んだ。
ペットボトルを置くと、私はボールペンを持った。
「じゃあ颯、息抜きに手伝って」
「え?あ、ああうん、もちろん」
すぱっと思考を切り替えて颯を見据えた私を見て、彼は苦笑いをした。
「息抜きって何すんの」
「適当なポーズとって、五分間固まってて」
「はっ?」
颯は意味がわからないという顔をした。
私はトートバックから使わない紙を取り出して、画板のクリップに挟む。携帯のタイマーで五分をセットした。