世界のまんなかで笑うキミへ
颯の言葉が引き金になって、蓋がこじ開けられるようなあの感覚を覚えたときのように、もう一度何か起こらないだろうか。
颯といなきゃダメなんだろうか。
もやもやと考えながら、ひとりリビングのソファにうずくまる。
すると、リビングのドアからお母さんが顔を出した。
「理央ー、二階の押し入れから、昔もらった葉書を入れたファイルがあるから、探してきてくれない?」
「あー……うん、わかった」
「それとねえ、もうすぐ夏休みでしょう?おじいちゃんに会いに行ったらどう?ほらあんた、数年前の夏はよく病院に行って………」
お母さんの言葉は最後まで聞かず、二階へ上がった。
二階の和室に入り、押し入れの襖を開ける。
葉書が入っているファイルは、確か厚みのある小さなやつだ。緑色。
押し入れに敷き詰められた段ボールやら箱やらを次々開けて漁っていく。
その途中で、私は手を止めた。
目に入ったのは、小さな段ボール。
開きかけたその隙間から見えたものが気になって、私は衝動的に段ボールを開けた。