世界のまんなかで笑うキミへ
世界のまんなかで笑うキミへ
「古田先輩。約二年半の間、部活動お疲れ様でした」
終業式が終わり、明日から夏休みが始まる、という日の放課後、美術室で古田先輩のお疲れ様会が行われた。
私と先輩と、顧問の湯浅先生。
出席したのはたった三人だけの小さな会だけれど、先輩は照れたようにはにかんで「ありがとう」と言った。
「いやー、古田はほんとよく頑張ってたわ。あんたの学年は特にはじめから幽霊の奴が多くてさぁ、そんな中で古田は真面目に毎日美術室に来て………」
先生が大袈裟に泣き真似をしながら、先輩の肩を叩く。先輩は苦笑いしながら、「別に真面目ではなかったですよ」と返した。
「僕もサボっちゃった日はたくさんありましたし、中野さんが来てからはつい色々中野さんに任せちゃったし」
ごめんね、と先輩が私を見て小さく頭を下げる。私は慌てて首を横に振った。
「いえ、先輩は部長としてしっかり任を果たしていたと思います。むしろ、助けられていたのは私の方で………」
先輩がいる美術室は、いつだって私を安心させてくれた。
先輩は私にとって、ずっと尊敬すべき先輩だ。