世界のまんなかで笑うキミへ
今日で彼は部を引退する。
明日からは私が美術部部長だ。
だけどやっぱり信じられないし、信じたくない。
私の中で古田先輩が『部長』であることは、これからも変わりないだろう。
それからしばらくの間、お弁当を食べたりお菓子を食べたりしながら、話は盛り上がった。
途中で、私は先輩に一通の手紙を差し出した。
「あの、これ……えっと、先輩の絵を写真で見せたら、私の友達がすっかりファンになっちゃって。手紙を渡してほしいと頼まれたんです」
差出人の欄には、『橋倉颯』と書いてある。
先輩は手紙を見て、「へえ」と嬉しそうに受け取ってくれた。
「僕の絵を気に入ってくれたってこと?」
「はい」
「わあ、嬉しいな。どこの高校の人?」
先輩は封筒を眺めながら、何気なく尋ねてくる。
私は自前に考えておいた言葉を忘れかけていて、必死に思い出しながら口を開いた。