世界のまんなかで笑うキミへ
「その友達は小さい頃から身体が弱くて、ずっと入院してるんです。だから高校へは行けてなくて………」
そう言うと、先輩は悲しそうに「そっか」と目を伏せた。
「早く良くなるといいね」
「はい……あ、できたらでいいんですけど、もし勉強の息抜きとして時間がつくれたら、返事を書いてあげてくれませんか。私に渡していただけたら私が本人に届けるので」
「ああ、いいよ。もちろん」
先輩はうんうんと頷いた。
「ありがとうございます」
無事手紙を渡せてホッと息をつくと、先輩が封筒を見つめながら「病院にいる友達ってことは」と言った。
「あの絵の彼は、この手紙の人?」
ドキン、と心臓が飛び跳ねた。
先輩の視線は、今も机の上に置かれている絵に向かっている。
いつもより大きなサイズのそれは、文化祭の絵を描く前の最後のリハビリとして昨日の夜完成したものだ。
病衣姿の男の子が、ベッドの上で明るくピースしてこちらに笑いかけている。